一生賃貸が得なのか?、それもと持ち家を持った方が最終的に得なのか?、という論争にはなかなか勝負がつきません。「持ち家は資産になるから」という見方があまりにも安易だというのもよく分かりますし、「賃貸は金を捨てるようなもの」というのも正しい部分があって、どちらも一長一短です。いつまで考えてもどちらが正しいという答えは出ないのであれば、ライフステージに合わせて賃貸と持ち家の両方を選択してしまうという生き方はどうでしょうか。
高額のローンを組んで自宅を買うのは危険
先日の日経ビジネスの記事「賃貸派って老後はどうするの?放浪?」によると、サラリーマンが高額のローンを組んで新築住宅を購入することはおすすめできないとあります。その理由は「今後35年間、ほんとうに今以上の給料をもらい続けていられると思っているのですか」というところにあり、自宅を買うサラリーマンのほとんどが、誰にでも起こり得る定年前の解雇のリスクを全く認識していないからだそうです。
記事中に登場する不動産投資家によると、年収1,000万円以上を稼いでいる世帯でも生活費・教育費・住居費に追われてカツカツで家計が赤字の世帯も珍しくはなく、ローンで憧れの自宅を持つ代償は大きいと言います。
これについては全くの同感で、ここでも何回か45歳強制定年について触れていますが、仮にもし定年まで同じ職場で働けたとしても、定年後10年くらいは普通に残債が残るプランを組まれていることがほとんどです。60歳以降も仮にもし健康だとしても再雇用されるか・そもそも仕事があるかどうかも分からず、定年後の生活は経済的にかなり厳しくなります。
一生賃貸は全然可能、でもお金を捨てるような部分はある
それに対して、賃貸の場合は、自分の都合に合わせてすぐ移り住むことができるので、クビになっても高額の固定費を払い続ける、というリスクを抱えなくて済みます。
家賃は家主に対して支払われるものなので、完全にただの経費でしかありませんが、金額をそれなりに抑えたところに住めば、トータルではローンを組むよりも住居費は安くて済みます。
また、賃貸の場合は老後に部屋を借りにくいという噂(本当の部分もありますが)については、確かに今でも高齢者を入居させたくないという大家さんは居ますが、少子高齢化が進んだ今の賃貸市場では、いつまでも高齢者の人たちを避けてはいられないため、借りられるへやはそれなりにあってそれほど困らないでしょう。毎月の支払いと緊急連絡先(今所有している物件に関していえば、高齢者の方の場合、息子さんか娘さんになってもらっています)さえしっかりしていれば、問題はありません。
安く買った自宅と賃貸用の不動産を持つ
このように一応、一生賃貸というのも可能なのですが、それでも家賃が外に出続けるのは惜しい部分はあります。なので、例えば新築ではなく、まだまだ使うことができる中古物件を安く買って、自分でそこに住むという方法であれば、それ以降は住居費は基本的には掛かりません。
先程の記事中の不動産投資家によると、問題の本質は「家を持つことではなく、ローンを組んでいること」なので、例えば現金による一括購入で物件を持つのであれば、やり方として十分にアリだと言います。
購入して住んでみた物件が、自分の暮らしのスタイルに合わなくなってしまった場合、例えばどこかに移りたいと思ったらそこを賃貸市場に出して家賃を稼ぎ、自分はまたどこかに賃貸かもしくは別に買って住めばよいのです。
歳と取ってもし体がキツくなり住み続けるのが難しくなれば、同じようにその物件を貸し出せばよいだけです。そのあとは高齢者住宅などに入ることになるかと思いますが、中古物件を持っていれば、上がってくる家賃が毎月の費用の足しになってくれるでしょう。
物件を選ぶコツはそう難しくもなく、当たり前ですが、自分自身が住みたいと思える中古物件を買って住むことです。自分が住んでみたいと思えるようなところでなければ、他人だってなかなか住みたいとは思ってくれないので、家賃収入は期待できません。